東京高等裁判所 昭和26年(う)1630号 判決
本件控訴の趣旨は末尾添附の検察官の控訴趣意書と題する書面に記載の通りである。これに対して当裁判所は次の様に判断する。
仍つて按ずるに昭和二十二年勅令第二〇七号外国人登録令施行当時日本に在住した外国人はその在住の継続する限り登録申請の義務を有し、同令附則第二項所定の登録申請期間はその期間内に登録申請義務を履行すればその履行時以前における右義務不履行は犯罪を構成しないという免責期間を意味するもので、右期間経過後においても右申請義務は依然継続するものと解するを相当とする。従つて右期間内に右申請を為さなかつたことによつて成立した所謂登録不申請罪の違法性は其の後右申請を為す直前まで継続し、該罪の公訴時効はその時から進行するものと解すべきである。然るに原判決はこれと見解を異にし、一部改正前の外国人登録令(昭和二十二年五月勅令第二〇七号)第四条同令附則第二項等の規定に対する違反即ち所謂登録不申請罪は登録を為さざるまま法定の期間を徒過したことを罪とするものであつて、期間の徒過ということが当該犯罪の主要構成要件となつており、所謂一種の状態犯であつて継続犯を以て論ずることのできないものであるとし、その結果本件登録不申請罪の公訴時効は登録申請の期間(昭年二十二年五月二日から三十日間)を徒過すると同時に進行を開始するから、本件犯罪については既に公訴時効が完成したものとして被告人を免訴した。これ明らかに法令の適用を誤り、それが判決に影響を及ぼしたものである。所論は結局理由があり原判決は刑訴第三百九十七条によつて破棄を免れない。